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どうして動物たちはお引っ越しをするの?〜知るともっと楽しくなる、動物園&水族館の裏側〜

2026年10月06日
目次
1 ホッキョクグマのイコロくん、天王寺動物園へお引越し
2 実は「繁殖を目的とした貸し借り」のチームワークだった
3 バイバイの裏側にある「動物に無理をさせないステップ」
4 「見る場所」から「命のつながりを感じる場所」へ

ニュースを見ていると、「〇〇動物園の〇〇が、別の動物園にお引越しします」という話題を時々目にしませんか?

最近も、上野動物園にいたホッキョクグマが、大阪の天王寺動物園へお引越しするというニュースが話題になりました。

「えっ、今まで一緒に暮らしていたパートナーと離れちゃうの?」

「住み慣れたおうちから引っ越して、寂しくないのかな?」

と気になったパパやママ、お子さんもいるかもしれません。

実は、この「動物たちのお引越し」には、動物たちの未来や命を守るための、とっても大切な理由とチームワークが隠されているんです。

知ることで、次の動物園&水族館めぐりがもっと楽しくなる「裏側」をのぞいてみましょう!

ホッキョクグマのイコロくん、天王寺動物園へお引越し

 

ニュースになったホッキョクグマの「イコロ」くんは、これまで上野動物園で暮らしていましたが、このたび大阪の天王寺動物園へお引越しすることになりました。

上野動物園では、イコロくんとメスの「デア」ちゃんが一緒に過ごし、赤ちゃんが生まれるようにと長い間たくさんのチャレンジを重ねてきました。

何度も同じ時間を過ごし、仲良くなって交尾が確認されたこともありましたが、残念ながら赤ちゃん誕生には至りませんでした。

そこで、新しい環境や、新しいパートナーが待っている天王寺動物園の新施設「ポーラーベアコースト」へと場を移し、次のステップへ進むために、今回のお引越しが決まったのです。

実は「繁殖を目的とした貸し借り」のチームワークだった

動物園や水族館で暮らす動物たちは、それぞれの園がずっと所有しているわけではありません。

国内のほかの園へお引越しすることがありますが、そのときによく使われるのが「ブリーティングローン(繁殖を目的とした貸借契約)」という仕組みです。

簡単に言うと、動物を「売買」するのではなく、所有権を持ったままお互いに「貸し借り」して、計画的に赤ちゃんを増やしていこうねという、動物園や水族館同士の大切なチームワークです。

世界中にたくさんいるわけではない希少な動物たちは、1つの動物園や水族館だけで飼育していると、どうしても血のつながりが偏ってしまったり、新しいパートナーに出会えなくなったりしてしまいます。

だからこそ、日本中の動物園や水族館が協力し合い、動物たちを貸し借りしながら命をつないでいるのです。

バイバイの裏側にある「動物に無理をさせないステップ」

とはいえ、動物たちにとって、住み慣れたおうちから遠くへお引越しするのは大きな負担です。

できるだけストレスがかからないように、どんな手順が踏まれているのでしょうか?

いきなり大きな箱(輸送用のケージ)に入れられたら、動物だってびっくりしてパニックになってしまいます。

そこで上野動物園では、お引越しの何ヶ月も前から、こんなふうに少しずつ準備を進めてきました。

実際の輸送を見据えて、治療などに使われる狭い檻(スクイーズケージ)に自分から入る練習をする

 

「この中に入ると、いいことがある(大好きなごはんがもらえる)」と覚えてもらう

扉が閉まる音や動きに少しずつ慣れていく

 

こうした、動物が自ら進んで検査や移動の姿勢に協力してくれるためのトレーニング(受診動作訓練)を、毎日コツコツと続けてきました。

その結果、新しくやってきた輸送ケージにも、イコロくんは自分から落ち着いて入り、しっかりと指示に応じることができたそうです。

ただ動物を見せるだけでなく、動物たちができる限り不安を感じずに移動できるように、日々の取り組みを大切にしているんですね。

 

「見る場所」から「命のつながりを感じる場所」へ

「お引越し」や「トレーニング」という言葉の裏側にある現実を知ると、動物園や水族館という場所の見え方が少し変わってくるはずです。

そこは、ただ珍しい生き物を見せてくれるだけの場所ではありません。

それぞれの施設がバラバラに動物を飼育するのではなく、日本中、そして世界中の動物園や水族館がネットワークを結び、ブリーティングローンという仕組みを通じて希少な命の未来をつないでいる最前線です。

移動や繁殖という計画の中で、動物たちに強いストレスや不安をかけないこと。

そのために日々のトレーニングがあり、私たちが目にする動物たちの落ち着いた姿は、そうした地道な配慮の積み重ねの上に成り立っています。

次に動物園や水族館に行くときは、動物たちが暮らす背景にはこうした「命をつなぐ仕組み」があるんだなということを、ぜひ思い出してみてくださいね。

画像引用:上野動物園

東京都恩賜上野動物園
動物園・水族館
東京都恩賜上野動物園
東京都台東区上野公園9-83