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野生の鯨類がすぐそばに?名古屋港の冬から春の風物詩「スナメリ」

2025年11月19日

「水族館にいる生き物」

それが、私たちの鯨類(クジラやイルカ)に対するイメージではないでしょうか。

しかし、もし、その野生のイルカの仲間が「意外と近くに生息している」としたら?

実は名古屋港には、毎年冬から春にかけて、温かい水温と豊富なエサを求め、背びれのない小さなイルカ「スナメリ」がやってきます。

今回は、スナメリの生態と観察するための探し方について簡単にご紹介していきます。

スナメリってどんな生きもの?

 

スナメリは、大人になっても体長は2mに満たない小型のイルカの仲間です。

体は、明るい灰色をしていて、頭は丸く、シャチやバンドウイルカのような背ビレはありません。

エサは、小型の魚やイカ、タコなどの頭足類です。

野生では、日本の他に、中国や朝鮮半島の沿岸域にも生息しています。

名古屋港には毎年、冬から春にかけて野生のスナメリが来遊してきます。

野生のスナメリの探し方

 

スナメリは、実は見つけるのがとても難しい生きものです。

他のイルカの仲間と違って、背びれがなくてジャンプもしない、体の色が白波に似ていて間違えやすいなど、見つけるのが難しい条件が揃っています。

そんなスナメリを探すコツは、じっと海を眺め続けることです。

イルカの仲間は哺乳類なので、私たち人間と同じ肺呼吸をして生活をしています。 そのため、必ず呼吸のために水面へと上がってきます。

その上がってくる瞬間を狙って、探します。

最初はなかなか見つけるのは難しいと思いますが、休憩も挟みつつ、気長に探してみてくださいね。

こちらの写真は、名古屋港水族館で行われている、スナメリの調査時に撮影されたものです。

赤丸で囲ってあるのが、スナメリです。

 

探すのにおすすめの場所

・ポートブリッジ

南極観測船ふじと名古屋港水族館をつなぐ連絡橋です。

・しおかぜ広場

名古屋港水族館内の北館にある屋外スペースです。

名古屋港水族館で行われている取り組みについて

名古屋港水族館では、各機関と協力し、名古屋港にやってくるスナメリの生態調査や教育普及活動を行っています。

目視調査

船で名古屋港を巡りながらスナメリを探す調査と、ポートビル展望台から探す調査を行なっています。

発見した個体数や、行動観察をし、記録をしています。

これまでの調査で、スナメリは冬から春にかけてやってくること、名古屋港の中で餌を食べていることがわかってきました。

音響調査

水中マイクを使って、スナメリの出す音を調査しています。

スナメリを含むイルカの仲間は魚を探したり、障害物を避けたりするのに超音波を使っています。

その超音波を検出して数えることで、スナメリがいつ、どのくらい名古屋港に現れるのかを調査することができます。

ストランディング調査

海にいる哺乳類が海岸線から陸地側へ生きた状態で座礁したり、死んだ状態で漂着したりすることをストランディングと言います。

死んだ個体が漂着した場合は場所や状況を記録したあと、可能であれば解剖を行い、筋肉や内臓などのサンプルを採取します。

死亡してしまった個体からでも、何を食べていたか、年齢や性別など、重要な情報を得られる場合もあるので、ストランディング調査はとても大切です。

教育活動

スナメリのことを知ってもらうために、館内にスナメリコーナーを設置して情報発信を行っています。

また小学校での出張授業を行ったり、図書館や博物館での講演会や地域のイベントに参加したりして、スナメリについての普及活動や、市民の皆さんと一緒にスナメリを観察するイベントも行っています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

スナメリは、毎年冬から春にかけて名古屋港にやってきています。

特別な道具は必要ありません。

ご紹介した探し方や場所を参考に、ぜひ野生のスナメリを探してみてくださいね。

そして、身近な存在のスナメリについて、もっと興味を持つきっかけにつながると嬉しいです。